2019-12-25
厩舎リノベーション
南部曲屋風厩舎の工事が進んでいます。
100年以上も前からそこで人と馬が暮らしていた大きな茅葺屋根の厩舎です。
競走馬の生産地として栄えていたこの地域に立つこの建物は、農耕馬として共存していた頃のいわゆる「南部曲屋」とは少々違っています。
でも地域の人々は「曲がり屋」と呼んでいます。
牧場のほぼ真ん中に位置するこの曲がり屋は長い間眠っていました。
今でもその曲がり屋で馬が生き続けています。
そのおかげでこの建物が朽ちずに立っているといっても過言ではありません。
そして今回手をいれることで、また新たな空間として目覚めようとしています。
新たな馬との共存の始まりです。
当時の素晴らしい技術に圧倒されながら、少しずつ手を加えています。
馬房が並んだ空間を活かしつつ、その気持ちのよい空間を今度は私たちに少し分けてもらうために。
現代ではこのような建物を新築することはとても難しい。
これからこの建物を維持していくこともかなり難しい。
そのことをより多くの人に知ってもらいながら、ゆっくりでもちゃんと考えていけるような空間へ。
この曲がり屋が見つめ続けてきた100年。
これからは多くの人が一緒に見守っていく100年へ。
新しい空間が見え始めたその中に、馬の息遣いが感じられそうな柱。
新旧がお互いに引き立てつつ、ゆっくり馴染んでいくデザインに取り組んでいます。
存在は知っていても、何となく近づきがたかった曲がり屋が開かれて
アイスクリーム片手に一瞬タイムスリップしたかのように牧場の風を感じる。
そんな場所に生まれ変わります。
今年も残すところあとわずか。
春の完成に向けて、2020年も工事は続きます。