県産材を使う、ということ。
いよいよ白いものが降り出し、遠くの山々も白い帽子を被り出した青森です。
明日から師走、2024年もあと1ヶ月となりました。
今日はいつもと違う体験の備忘録を少々。。。
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青森県林政課主催の「地域材活用ワークショップ」に参加。
地域材に関する「川上(かわかみ)から川下(かわしも)までを知ることから」ということで、雪がちらつく中伐採現場へ。
メインで伐採マシーンを操るのは20代(おそらく)の若者。
マシーンであっという間に数本を切り倒した後は、マシーンでは難しい大木にチェーンソーで切り倒しにかかる。
高さは25m超、樹齢は50年くらい、二股になったこんな特殊解はマシーンでは難しいらしい。
曇天の寒々しい山の中で、「カーン、カーン」と最後の打ち込みの後に、静かだけど大地に響く「ドーン」という音と共に大木は横倒しになった。
チェーンソーを木にあて始めてから10分もかからなかったように思う。
(その瞬間の動画はFBに。)
二股の大木は、短く残っていた木を避けるように倒れていた。
聞くと、この短い木はあらかじめ残しておいた転がり防止の木だという。
それを計算してチェーンソーの入れ方を調整して倒していくらしい。
言うのは簡単だけれど、現場で目の当たりにすると、あまりの精密さに驚きを超えて感動すら覚える。
青森の川上(かわかみ)にはすごい若者がいる。。。
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その後は川中の製材所へ。
ちょうど下北からやってきた巨木を製材していた。
製材所の建物は100歳になるとか。。。
さっき切られた木よりも長い間、青森の林業を支えてきた。
この場所を次の100年へ繋いでいくにはどうしたらいいのだろう。。。
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私たち川下(かわしも)の人間にできること、それを考える機会はここ数年特に増えています。
これまで住宅をデザインするときはほとんど木造でしたので、毎回木とは向き合ってきました。
毎回異なる空間に見合った「木」は何だろう、と。
そんな中で、もちろん県産材も多く使ってきました。
杉、青森ヒバ、唐松を、柱に土台に床に下地に家具に、etc.etc.
最近は住宅に限らず、中大規模建築の木造化がSDGsの観点からも広がってきています。
私たちがデザインした正門ひろばeⁿでは、ベンチへと生まれ変わらせることにしました。
大きくなり過ぎて手入れが難しく、学園が見えなくなってしまっていたヒマラヤスギを伐採するにあたり、別な形で残したいと考えたのです。
チェーンソーを巧みに操る現代版キコリが、幼稚園児の見守る中ヒマラヤスギを伐採。
乾燥され、製材され、座板にして、学園祭で焼印を押すイベントを開催しました。
それらを座面にしたオリジナルのベンチとなって、ヒマラヤスギは再び同じ場所に戻ってきました。
かつてあった大木はキャンパスでの思い出と共に多くの人の記憶に残ることになったのです。
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「川上(かわかみ)から川下(かわしも)まで」
ヒマラヤスギがベンチになるまで、多くの人々が関わりました。
このヒマラヤスギもたった6本とはいえ県産材。
青森の豊かな資源を未来へと繋ぐデザインを、これからも続けていきたいと思っています!
次回も私たちがこれまで関わってきた県産材をご紹介。
どうぞお楽しみに。