古い柱と融合しながら新しいものを足していきます。
線状降水帯発生のニュースが全国で飛び交っているこの1ヶ月。
以前は「梅雨がない」と言われていた青森も、降ったり止んだりの空模様が続いています。
つい先日は、日本海側には大雨警報も出され、一部被害も出てしまった文月です。
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新型コロナウイルス感染症は5月に「5類」としての扱いとなり、ここ数ヶ月でいろいろなことが一気に動き出した、と感じています。
春を待って着工することも多い北日本。
忙しさに拍車をかけている、そんな感じがします。
それに合わせ、最近の激しい気候。
現場の職人さんたちは本当に大変です。
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そんな中、南部町の改修工事が進行中です。
長年地域で親しまれてきた店舗の一部を改修して、お店を存続しながら、新たな居場所をつくっていくプロジェクト。
お店の奥には住まいが続き、質地は高台につながっていて、そこには大木が。
登ると周辺を見渡すことができる絶景。
なんて豊な景色なんだろう、と思わずにはいられません。
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人口減少による地方の過疎化は全国共通の課題、と言われています。
でもそこには唯一無二の価値もあります。
そしてそこに暮らしている人がいます。
それを見出し、その器となるデザインとは何か。
毎回異なる答えを探し続けています。
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今回は、既存のお店の中にすっぽり入る新しいハコをデザインしました。
これまでたくさんのお客さんに商品だけでなく居場所も提供してきたこの店が、これからも地域に生き続けるように。
ふらりとやってくる誰かのために、いつもどこかが開いている。
声を掛けると「ハーイ」と誰かが答えてくれる、そんな雰囲気を残しながら。
これから新しい人もやってきて、自然とそこに座っている場所になるようデザインしました。
新築時、お祝いの鏡はそのままに。これからもここに集う人々を映し出します。
次の時代へと繋げるパーツのように、そっと、それでいてしっかりと根付くように。
白いキャンバスに、これからも自由にいろんな色が描かれていくように。
完全にリセットするのではなく、これまでの時間に重ねていけるように。
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完成はもうすぐ。
さくらんぼの季節が過ぎ、次は桃の季節でしょうか?そんな楽しみもある南部町への道を走ります。
ゴールデンウィークの夏日をお伝えして間も無く、八甲田山では雪が降り、まるで冬に逆戻りしたような気温。
でも先週はなんと30度越えになった青森。
これからは「前日比10度」で驚かなくなっていくのでしょうか⁉︎
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さて先週末、そんな天気の移り変わりが激しい最近には珍しかった穏やかな晴れの日に、
また一つオープニングを迎えることができました。
学校法人青森田中学園の正門リニューアル。
これまでヒマラヤスギの木立により学園の入口として分かりにくく、車優先となっていた正門。
学園の門としての視認性を高めると共に、幼稚園の車寄せを確保しつつ、学園へとアプローチする庇とで構成し、歩行者に優しい地域に拓かれた憩いの広場を内包しています。
いわゆる「権威的なこれまでの学園の門」という概念を覆して、これからの学園にふさわしい「新しい門」を目指しました。
新聞に掲載された「正門ひろばeⁿ(えん)」建学の精神『LoveWisdomTruth』が一際目を引きます。
多くの関係者が出席してテープカットが行われ、新名称も発表されました。
新名称は「正門ひろばeⁿ(えん)」
その名前が意味するのは、緩く傾斜する円形の庇の「円」
門でありながら広場で学生も園児も地域の人もenjoyする「en」
そしてその多様な人の繋がりが生まれていく「縁」
小さなnは、そんな様々な「えん」が指数関数的に何倍にも増えていくことへの願いを込めて。
その説明を聞いた後、サークル発表やキッチンカーに並ぶ人々を見たときには感慨深いものがありました。
関係者の皆さんでパチリ。多くの方々のご尽力の賜物です!
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キャンパスのこれからを見据えたグランドデザインを考え始めたのは5年前。
キャンパスの現状と課題を丁寧に拾い出し、10年後の未来へ向けたキャンパスグランドデザイン。
その第一歩が今回のプロジェクトでした。
大きなヒマラヤスギは変わりゆくキャンパスを見守り続けて、そして今回のプロジェクトでベンチとなって姿を変え、これからもキャンパスにあり続けます。
そのベンチには学生だけでなく多く人が参加してくれた焼き印が。
世界にたった一つの焼き印のように、この場所で、このキャンパスで過ごす時間が思い出に刻まれることを願って。。。
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このところの気温に驚いたのか、グレープフルーツの木に蕾が。。。
種が芽吹いてから15年目以上にして初めての蕾。
これからも「いつか花を咲かせ、多くの実をつける」そんな長いスパンで未来を見据えたデザインができたら、と思います。
正門ひろばeⁿ 2023年 青森市
ゴールデンウィークも最終日。
こどもの日の一昨日は夏日になった青森です。
昨日は乾いた地面を潤すかのように一日中雨が降り続いて、気温は前日比10度超。
能登半島では大きな地震が起き、深夜には青森でも。。。
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コロナが「5類」になる直前の今回のゴールデンウィーク。
待ちきれない人々が繰り出して、中心街のあちこちではイベントが盛りだくさん。
先週は旧中三跡地に商業複合施設がオープンしたこともあって、すごい人出!
昨年3年ぶりにリアルでの開催となった「ねぶた祭」の時もその賑わいに感動しましたが、老若男女がまちを行き交う姿に、人が集まるってそれだけですごいパワーだと痛感しました。
ある意味「まちはそのステージ」であり、その器としての建築空間もとても重要だと。。。
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先日開催された八戸市美術館での谷尻氏の講演会も多くの人が足を運んでくれました。
いろんな意味で飢えていた私たちに、建築業界の経済的な視点からリアルに話を聞く貴重な機会となりました。
そしてその場所が全国的にも注目を浴びている美術館であり、その瞬間に居合わせることの充実感はやはり体験してみないとわからないことです。
谷尻ワールドにみんな引き込まれました!
特に乾いたスポンジのような学生たちにとって、その「経験」そのものが自身をつくります。
30年以上前のことを振り返って自分達がそうであったように。
様々な空間で繰り広げられるものから多くを纏っていってほしいと思います。
建築空間と共に、そのような機会を一つでも多くつくっていけたらと思うのはコロナを経験したからか、教職に着いたからか。。。
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そしていよいよ、新たな建築空間のお披露目が近づいています。
こちらは青森市にある学園の正門ゲート。
それまであった正門のリニューアル。
これまで築き上げてきた歴史を未来へと繋ぐため、新たなゲートが開きます。
地域へ、そして世界へと開かれた学園をイメージしてデザインしました。
新緑薫る時期に新入生だけでなく、そこに集う人の背中を押してくれるそんな場所になればと思います。
5月13日(土)はキッチンカーも出るイベントになるそうです!
ぜひ足をお運びください!
4月に入ったと思ったら、すでに月後半へ。
シン・セイカツにまだまだ馴染めず、の方も多いでしょう。
例年より半月も早い桜満開を迎えた青森ですが、ここ1週間は風が強く、気温も低めの毎日です。
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さて、今週末は八戸市美術館に建築家の谷尻誠氏を招いての講演会が開催されます。
谷尻さんは、広島と東京の二箇所に事務所を構え、国内外で多数のプロジェクトを手掛けています。
東京事務所にはダイニングカフェ『社食堂』を併設して運営されており、建築家という仕事の幅を広げ活躍されています。
そんな方のリアルなお話しを聞けるまたとないチャンス!
私たちのような現役で働く者にとってはもちろん、これから建築に携わろうとしている学生にとっても大きな刺激になるハズです!
八戸市美術館をまだ観ていない方もこの機会にぜひ!
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大学は授業もシン4年生のゼミもスタートしました。
ゼミ終了後のホワイトボードには誰かのメモが。
シン・スタートには目標が大切。。。
「かっこよい建築」って本当に難しい。。。
多くの事象をまとめ上げ、「カッコよい」カタチをつくるって本当に難しい。。。
シン・プロジェクトに向かうたびに、今だに毎回シコウアンドサクゴ中。。。
1年迷いながら一緒に探していきましょう!
私たちも探し続けます!
オンラインではない式を開催の場面も久しぶりの春です!
桜前線はいつもより駆け足でもうそこまで来ている青森です。
新聞には新大学生や新社会人のニュースが多く掲載されていました。
新しいスタートを切った人はもちろん、いつもよりもワクワクする気がするのはそのせいでしょうか?
これまでは5月のゴールデンウィークが桜の満開、のイメージでした。
でもここ数年でそれが前倒しとなり、昨年のゴールデンウィークは葉桜だったような。。。
今年は桜祭りのスタートも前倒しするところも多いのでは。。。
これも温暖化の影響か、と思いつつ、春という暦に心浮き立つのは誰しも。
そして桜がセットにもなれば、尚良し!
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さて、新入生、新社会人と共に、新教育人として弊社の福士譲がこの4月より八戸工業大学の建築・土木コースの准教授に就任することとなりました。
青森県内には建築学科があるのは八戸工業大学のみ。
これまで先人が築いてきた建築教育に、微力ながら精一杯努めてさせていただきます。
フクシアンドフクシでの経験を活かして、学生との協働と、より幅広いデザイン活動を進めていきたいと思います。
「設計って面白いですね!」そう言ってくれた学生の言葉を大切に、新しい環境にチャレンジです!
桜の開花まではもう少し。私たちの新しいチャレンジが静かにスタートです!
住宅街にもまだ雪は残っていますが、植物は動き出しています!
3月上旬とは思えない暖かいここ1〜2週間の青森です。
雪解けは一気に進み、年度末と新年度へ向けての慌ただしさで、車と人の
動くスピードが一挙に上がっているのを感じます。
雪が残る庭先ではちょっと気の早いパンジーが開花していました!
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今年は「チャレンジ」がキーワード。
先日は学生さんのお手伝いについて書きましたが、私たちも色々始まりました!
まずは昨年末その全貌がお目見えした某大学のゲート。
こちらは冬期の撮影に入り、そして今回はドローンでの空撮にも挑戦。
青森だからこそ、を考えてのデザインを検討してきた今回のプロジェクト。
でも自然はそう簡単にはいきません。
「風雨から身を守る建築としての機能」と、相反するような「自然と共存するデザイン」
「その場所にしかない建築をデザインする」を掲げている私たちにとって、毎回毎回がチャレンジでもあります。
さらに今回は、大学のゲートとしてどんなデザインがいいのか、時間をかけて考えカタチにしてきたプロジェクトです。
春には本格的に使用開始。
新入学生のように私たちもワクワク、ドキドキの春を迎えます。
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あれから12年。
あっという間のような、ついこの前のような。
いつもの当たり前の「明日」は「絶対ではない」ことを知ったあの日。
それを痛感したはずなのに、少し薄れかけていたような時期に今度はコロナ。。。
いつもとは違う日常が続いた3年。。。
世界では戦争が今も続き、トルコではまた大地震が。。。
「明日」が来ることを信じているけど、それは「絶対ではない」。
だからこそ「今日」を迎えられたことに感謝して、精一杯生きる。
シンプルだけどとても難しいチャレンジを、これからも続けていきます。
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事務所ではまた新しい空間が生まれそう。
春の芽吹きとともに明るい季節到来です!
今年はウサギのようにジャンプを!と新年スタートしてからあっという間に2月後半へ。
マイナス10°にも感じるような大寒波が来たと思ったら、今日は春の陽だまりのような日差し。
毎年毎年冬の景色が違って見える青森です。
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そんな暖かい週末を迎えたねぶたミュージアム「わらっせ」の西広場で、突如出現した三つの箱。
これは青森中央学院大の学生がつくったお手製「美術館」!
本日朝刊に掲載されました!!!
大学のプレイスメイキングプロジェクト実行委員会が「もっと街中を楽しもう!」と企画し、いろんな人と協力しながら極寒と強風の中、作り上げました。
「チャレンジ」がキーワードの予感がする今年ですが、私たちはそのアドバイザーとして、箱作りのお手伝いをさせていただきました。
どんなプレイスをメイキングするのか???
とっても自由に、だからこそとても難しそうなお題に取り組む学生さんに圧倒されっ放し。。。
そして、それに喜んで参加してくれた様々な老若男女の方々。。。
みんなで妄想!!!
いただいた想いをさらにブラッシュアップ!(+Cにて)
思いをカタチにする過程とその具現化に、楽しく参加させていただきました!
楽しくまちをジャックした3つの箱、ぜひ皆さんにも楽しんでいただけたら幸いです!
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とはいえ、この陽気。
雪とのコラボは一瞬で変化していきます。
夜にはライトアップも!
明日までの期間限定です!! どうぞお見逃しなく!!!
極寒の中の取材!でもこの笑顔がお天気を呼び込んだのかも!!
皆様あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
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2023年が幕を開けました。
本日より始業いたしました!
昨年も多くの方々に大変お世話になりました。
おかげさまで様々なプロジェクトに関わることができました。
年越しで進行中のものも含めて、今年もチャレンジし続けていきたいと思います。
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昨年完成したプロジェクトの一つ「このめ」を本年の第一弾としてWorksにアップしました!
『子ども第三の居場所』学習・生活支援モデル 青森県青森市拠点として昨年オープンした「このめ〜Giving Tree AOMORI〜」。
副題の「Giving Tree AOMORI」にあるように、「子どもたちが、春に芽吹く「このめ(木の芽)」のように、自分達の将来に希望をもって成長していけるようにサポートする「おおきな木(The giving tree)」のような存在」を目指して作られたスペースです。
大きな木をイメージした空間には様々な居場所が。。。
詳しいご紹介は後日改めて。。。
ウサギのように軽やかな気持ちでジャンプしてスタートです!
2023年もフクシアンドフクシをどうぞよろしくお願いいたします!!!
12月半ばのまとまった雪は、最近の穏やかな気温の推移と早速の排雪により、「ほぼ雪が無い青森」という珍しい大晦日を迎えています。
その一方で、大雪に見舞われた地域があり、
世界では戦争が続いている地域があり、
そしていまだにコロナは終息せず、危機的状況にある地域も。。。
ニュースで世界中の情報をリアルに手にすることができるようになった時代。
これまでは、何となく「画面の向こうの話」に感じていました。
でも、最近の問題はいずれも「明日は我が身」
これ以外にも多くのことが紐づいて溢れ出て来ている、そんな気さえする年の瀬です。
でもでも、1年365日。
嬉しいことも楽しいことも多くありました。
きっと前に進んでいる、そんな気持ちで新しい年へ向かいます!
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振り返ってみると、いつも以上に多くのプロジェクトが集中した一年でした。
2年もの感染対策の生活から、このままではいられない気運が起こり、多くのプロジェクトが動きました。
それまでの雪の下で春を待つ小さな芽が一斉に顔を出すように、じっと耐えていた時間が一気に動き出したのは私たちだけではなかったはずです。
建物の大きさに関わらず、デザインをするということはそれだけのパワーを使います。
息つく暇なくスタッフと共にフルスロットルで走り抜けた1年となりました。
ご紹介しきれなかったプロジェクトは、年越しでお伝えしていきたいと思います!
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同様に新鮮な体験も多くありました。
「曲屋KANEKO」のiFアワード受賞を受け、様々な方々から講演会のご依頼を受けました。
先日のオンライン講演会でも多くの方に拝聴いただき、たくさんの感想もいただきました。
このような機会を与えてくださった関係者のみなさま、本当にありがとうございました。
12月8日に株式会社オリバー仙台ショールームでのオンライン講演会の様子
高校生や大学生に話す機会では「建築家の仕事」について、その魅力と苦労と希望を少しでも伝えられたら、と思いました。
岩手県立大学での講演会の様子
「希望」とは私たちではなく、彼らそのものです。
未来をつくっていく彼らに「希望」を見ていると。私たちの「願い」を。
私たちはちょっとだけ先を歩いているだけで、そのバトンを繋いでいきたいと感じた1年でした。
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年を挟んでいくつものプロジェクトが来年完成を迎えます。
またひとつ、ふたつと伝えていけるように、ゆっくりですが一歩一歩進んでいきたいと思います。
みなさま、良いお年をお迎えください!
師走に入り一挙に冬が始まった感じのする青森です。
青森市とは違って雪の少ない八戸でも朝起きたら白い世界に。
朝日に溶けた雫が凍りつく、八戸ならではの冬も始まりました。
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さて先日2週に渡って放送されました「 おしゃべりラボ〜しあわせSocial Design〜」いかがでしたか?
最近は建築関係者だけでなく、様々な方々とチームで取り組むプロジェクトが多くなったお話とか、
単なる設計だけではなくて、プロジェクト立ち上げの段階での関わり方のお話とか、
「今」を組み込みつつ、「過去」を「未来」へ繋ぐソーシャルデザインのお話とか。。。
今の私たちの率直な思いをお話しさせていただきました。
普段何かを発信する場合は、準備を重ね、校正を重ねてすることが多い私たちにとって、
オンラインとはいえ、会話をキャッチボールしながら考えを発信していくことは、とても新鮮な時間であり、新たな発見がありました。
また新たなプロジェクトへ活かしていきたいと思います!
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おかげさまで、今年は特に「曲屋KANEKO」についての講演依頼を多くいただき、多くの方にご紹介する機会に恵まれました。
その最後となるDSA東北支部主催のWebセミナー「空間デザインに見る地域資源の再生」Vol.2.0に
明日12月8日登壇させていただきます。
「曲屋KANEKO」が立つ七戸という地域の魅力をどのようにデザインに織り込んでいったのか、ディープなお話しができればと思います。
オンラインにてお聞きいただけますので、よろしかったらご参加ください!
師走もいよいよ目前。
木々はすっかり葉を落とし、残りわずか。
週間天気予報には雪だるまがお目見えした青森です。
先週土曜の朝午前7時40分からニッポン放送の「 おしゃべりラボ〜しあわせSocial Design〜」いかがでしたか?
中村先生と残間さんの巧みなリードで、緊張しながらも何とか「曲屋KANKO」についておしゃべりすることができました。
「ただ維持・保存していくのではなく、現代に合った新しいものを入れていくことが大切です」
そうコメントしていただいて、このプロジェクトが貴重な体験だったことを改めて実感しました。
関東限定ですが、エリア外でも1週間はradikoで聞くことができます。(コチラからどうぞ!)
来週も引き続きおしゃべりいたしますので、よろしかったらお聞きください!
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さて先日に続き、「玉川の家」の今回は内部をご紹介いたします。
特殊な敷地形状から、東西に細長いプランです。
その長さを逆手にとり、両手を左右に大きく広げたイメージでメインの空間をつくっていきました。
柔らかいグレーと赤茶の木が落ち着いた質感のリビング。
クライアントご家族からは「一段下がったリビング」「階段の途中にちょっとしたスペース」などなどヒントをいただき、プランを組み立て5層のフロアがスキップする空間構成となりました!
リビングから見る。奥へと長い空間は、スキップして2階へも繋がる。
階段の途中にある小さなスペースが緩やかに空間を繋ぐ。
中2階から見下ろす。リビングまで緩やかに繋がる。
このスキップした空間を斜め天井の吹き抜けが繋ぐことで、左右(東西)に加え上下にも広がる連続空間となりました。
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さらに1階の和室の角度を少し振ることで、キッチン前の空間が縁側となり南北の奥行きを膨らませます。
リズミカルに並ぶ柱が空間の広がりと和室の特別感を演出します。
少し角度を振ることで生まれる空間の広がり。
普段は開放的にLDKと一体で使いながらも、節句や来客時など非日常も大切に過ごすことのできる一室です。
玉川の家は外観だけでなく内部も、大小様々な箱が緩やかに繋がって広がりを生んでいるのです。
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新しく開発された住宅地のような区画とは違い、東西に長く南北に短い敷地だからこそできた「玉川の家」。
これからの寒い季節も伸び伸びと楽しく過ごせますように。
そして暖かい季節にはお子さんとサッカーの練習ができますように!
玉川の家 2022年 青森市
燃えるような紅のドウダンツツジ。短い青森の秋を彩ります。
先日の皆既月食と天王星が同時に起こるタイミングは442年前だとか。そして、次回は322年後なのだとか!
いつの時代も変わらず思わず見入ってしまうその姿に、改めて自然の雄大さを感じずにはいられない。
そんな時間を過ごした方々が多かったハズでしょう。
短い秋の夜長を楽しんで、あっという間に季節は次へ向かいます。
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2022年もあと1ヶ月ちょっと。
現場はいつ降ってくるかわからない白いモノにアンテナを張りながら進めています。
9月に完成した「玉川の家」をWorksにて公開いたしました!
ここで改めて「玉川の家」をご紹介いたします。
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道沿いに大小の箱が並ぶ玉川の家
大小様々な箱が並ぶ景観。目の前の道はこのエリアの住民のメインストリート。
整然と綺麗に区分けられた分譲住宅地は、戦後100年足らずの間に形成された風景です。
古都の五番目上に区画された街並みとも異なった景観を作り出しました。
その一方で、いつ誰が道をつくり家が立ち始めたのか、その歴史に触れたくなるエリアも少なくありません。
玉川の家も道沿いに不規則に家々が立ち並ぶ、そんな昔ながらのエリアに建っています。
敷地は東西に長くほぼ三角形に近い形状で、南面する前面道路の幅員も狭いため南北の奥行きを確保するのは簡単ではありませんでした。
冬期の除雪や耐雪場所を検討しつつ、東西の長さを活かした配置計画を考えました。
周辺の家々と同様に道路に近接することや大小様々な並ぶ姿に呼応するために、少し角度を振って大小の箱を組み合わせたようなデザインとしました。
道沿いに見えてくる西側には大きな窓。
ここには三角形の敷地の効果が最大限に発揮されています。
リビングからの眺めは木デッキ越に敷地の西端まで視界が抜け、前面を通る人との距離を保つことで、単なる敷地の余白ではなく、クライアントご家族の大切な外部空間となりました。
そしてこのスペースは冬期には耐雪場所となり、一年の4分の一という長い時間を支えるのです。
次回は中をご案内いたしましょう!
玉川の家 2022年 青森市
実りの秋、紅葉の秋、芸術の秋…..
「いつもの」秋とは何だか違うように感じるのは、コロナのせいか、戦争のせいか、30度近い気温のせいか…..
そんな中でも「○○ぶり!」が嬉しくなる機会も増えました!
私たちの事務所でも、久しぶりに学生さんが設計事務所体験に来てくれました。。。
ーーー
初っ端に週初めの所内ミーティングから参加。
複数のプロジェクトの進行状況などを確認するスタッフを見ながら
間髪入れずにお互いの自己紹介。
そして、緊張が解れる間も無く作業スタート。
所内では様様な模型製作やCADなどを体験。
ある時は作品見学、ある時は現場へ。
ある時は木材の加工確認のため製材所見学に。
その姿は日刊建設青森(R4.8.29)でも紹介されました!
設計意図を聞いた後に、実際の空間を体験すると見方も違ってくるのでは???
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それぞれのプロジェクトの説明を受けながらも、きっと頭の中はもうすでにパンパンだったでしょう。
慣れないホテル住まいや、遠くは2時間もかけて通ってくれた学生さんも。
「設計事務所」というよりは「F+Fの働く場」を体感してもらった、という方が正確でしょう。
そんな混在した時間の中で、ひとりひとり感じたものは違ったと思います。
「自分のやりたいことは何なのか」それを考えるときに何かヒントになったなら嬉しいです。
「設計をすること」=「考えること」
私たちも今だに考え続けて、これからも考え続けています。
「どう進もうか。。。」と考えていたあの頃を思い出して懐かしく、
あんまり変わっていない(成長していない⁉︎)自分達を再認識。。。
まだまだこれから考え続けなくては、と思う秋となりました。
ーーー
そんな刺激を与えてくれる「設計をやりたい!」と思う方々へ。
オープンデスク、インターンシップはいつでも受け付けております!
設計デザインに興味のある方は、電話またはメールにてお問合せください!
お待ちしております!
青森県森林組合津軽木材流通センターにて。
秋晴れというよりも、残暑という言葉がふさわしい良き日に、無事完成を迎え、クライアントのご厚意のもとオープンハウスを開催することができました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
ーーー
今回の住宅の南北に長い不思議な形の敷地は、昔の畦道を思い起こさせる道に面しています。
緩やかに畝るその道沿いに建つ家々たち。
大小様々、向きも様々、でもその距離はちょっと近い。
そして何より、道路との距離が近い。
「その景色に対して、どんな建築をつくるか」
プライバシーを確保しながらも閉じすぎない、その距離感を考えながらのプランニング。
その結果、いくつかのボリュームが一部角度を振って並ぶデザインになりました。
内部は落ち着いたアースカラー。
前面道路の向かいに広がる景色を楽しめるように開口部を配置して、移り変わる日の光が内部空間の印象を変化させていきます。
角度を振ったことで生まれた2次元の三角形と、スキップするフロアをつなぐ3次元の三角形が、リズミカルな空間になりました。
ーーー
長い敷地の余白は、子どもたちが駆け回るに格好のシチュエーション。
多角形の敷地境界を探しまくって見つけた線は、完成を迎えてまた消えていきます。
確かに存在はするけれど、ここに住む人たちにとってその線は、その人たちにしか見えない線なのかもしれません。
いいえ線というよりむしろ、道も含めて共有スペースになっているように感じます。
そのスペースはゆらゆらしていて、それぞれの敷地内も時には共有したりして。
そういえば子どもたちは、道路とか、お隣とか関係なく走り回ってたなぁ。。。
そんなことを受け止めてくれるこの場所で、クライアントご家族の新しい暮らしがいよいよ始まります。
完成写真は近々HPにて公開予定です。どうぞお楽しみに!
ねぶたが終わり、朝晩の風がひんやりしてきました。
時々まだ雨が降る日もあり、日中は気温が上がり、と落ち着かない毎日ですが、
9月に入ると、一挙に秋がやってくる気がする青森です。
夏休み終盤の宿題のラストスパートのように、お盆明けから現場の動きも加速してきました。
検討を重ねてきたものがカタチとなって現れてきます。
冬が来るまでの時間、走って走って走り切ります!
ーーー
そしていよいよ、来たる9月17日(土)、18日(日)の二日間に渡って青森市にてオープンハウスを開催する運びとなりました!
感染対策を行い、完全予約制にて開催いたします。
ご希望の方は、お電話(017-734-6225)またはメール(ffarchi@w5.dion.ne.jp)へご一報ください。
詳しいご案内をお送りいたします。
今回の住宅は、遠くに八甲田連峰を望む場所にあります。
点在する家々と畑に囲まれ、小道沿いに長く面した不思議な形の敷地です。
その景色に寄り添うように、それでいて新たに暮らし始めるご家族にとってあずましいカタチを考えました。
緩やかに蛇行する道に沿って立つ周辺の家々。
その景観を保持するように、いくつかの箱が集まったような外観。
少し角度をつけて並ぶ箱々が繋がってできたLDK。
中に入るとその広がりを実感いただけます。
小道に面して建ちながらも、心地よい距離感がプライバシーを保つ大きな2つ開口部の向きにご注目ください。
仕上げも最終段階に。
色が入って、モノクロだった世界が一挙にカラーになっていきます。
今回はアースカラー中心に、シックな世界が広がります!
ーーー
その場所にしかない景色と空間を。。。
この機会をお見逃しなく!
見学ご希望の方は、お電話(017-734-6225)またはメール(ffarchi@w5.dion.ne.jp)までご連絡ください。
追って詳しいご案内をさせていただきます。
気がついたら県内の夏祭りは最高潮!
日が暮れてからの空気は既に少しひんやりしてきたような。
早くも秋の気配を探してしまう青森です。
ーーー
3年ぶりの開催となった青森ねぶた祭り。
「待ちに待った」という思いであるのはもちろん、2020年1月に運用を開始した青森市新庁舎にとって、実は初のねぶた祭り!
窓口機能などの主要部署は、閉ざされていた駅前再開発ビルに再び火を灯すために移り、当初10階建を想定して計画されていた新庁舎は規模を大分縮小しての建設となりました。
それでも、多くの方々と対話を重ねた「青い森の広場」と1階のサードプレイスが実現し、いよいよこれから、と思った時にコロナへ突入。
オリンピックの聖火を迎えることも、そしてねぶた祭りを見守ることもありませんでした。
そしてようやく今年、新庁舎の前を囃子と跳ね人と共に多くのねぶたがゆっくりと通り過ぎていきます。
様々なコロナ感染対策の中での開催のため、桟敷席や放送席などはかなり縮小しており、跳ね人は事前に募集をして人数を限って、観客も大声を出さないように協力してもらいながら、というスタイルでしたが、誰もが祭りを楽しみにしていたんだと改めて「祭」の大切さを感じずにはいられませんでした。
ーーー
広場ではマルシェが開催され、街は祭り一色に。
この賑わいの一角を新庁舎の空間が担います。
ノーベル賞の晩餐会が開催されるのはノルウェーのストックホルム市庁舎。
青森市新庁舎も、世界に誇るねぶた祭りのメイン会場のひとつなのです!
運用開始まもなくのイベント(2020年1月)
その後感染防止対策のため、多くのイベントが中止や延期になった。
老若男女に親しまれる庁舎とは。。。その活用法はまだまだこれから。。。
普段は小学生がバスを待ちながら宿題をしてる、そんな空間でいてほしいと思うのです。
コロナを乗り越え、これからもっと多くの人が足を運びたくなるような場所となりますように。
そう願いながら、遠ざかっていくねぶたの後ろ姿を見送りました。
青森市新庁舎 2019年 青森市
キッチンから見えるのはこんな眺め。。。
感染者数が上昇し続けている毎日ですが、梅雨明けから気温が再び上昇してまさに夏本番、の青森です。
3年ぶりのねぶたの開催直前で、みんなの熱い青森が久しぶりにやってきます。
一挙に動き出したいくつものプロジェクトの熱も相まって、オーバーヒートしないように時折冷却しながら、の毎日です。
ーーー
木材高騰の煽りを受けながらも、何とか現場は進んでいます。
内部空間が見え始め、蒸し風呂のような現場で汗だくになりながら打合せ。
カラーもほぼ決まり、設計図を手に現場に通う日々が続きます。
ーーー
住宅の場合ですと、お話が始まってから完成まで平均約2年でしょうか?
公共建築など大きなプロジェクトになるとそのスパンは長くなっていきます。
多くのことを整理し、クリアし、デザインしていくからです。
工事の規模も大きくなり、工期も長いケースが多くなります。
そして長く残っていく建物だからこそ、尚更設計期間が大切になるのです。
「この木をどうするのか。。。」
このプロジェクトは「その一言が始まりだった」と言っても過言ではありません。
その木を先日、とうとう伐採することになりました。
ここに至るまで、多くの方々と話をし、考え、線を引きました。
平成の時代を見守ってきたこの木々は、形を変えて残っていきます。
これからの10年、100年を見守っていくために。
ありし日のヒマラヤスギたち。今度の冬は新たな景色が広がる予定です!
この木々に恥ずかしくないように、設計図を片手に現場に通う日々が始まります!
ここ半月の間に、いろいろなことがありました。
コロナだけではなく、新たな出来事が次々を起こりました。
一日として同じ日は無いことを、また改めて思い知らされているような気がします。
できることをひとつひとつ丁寧に。
それはきっとどこかへ繋がっているハズ。。。
ーーー
先日は「曲屋KANEKO」を実際にご説明する機会を得て、予約限定ではありましたが開催することができました。
その参加者の中には現在非常勤講師を務める八戸工業大学の学生さんも。
「とても楽しかったです!」「どこが一番のポイントですか?」などなど感想や質問がたくさん。
画像とは違うリアルな空間の中で、やはり感じるものがあると思います。
他にも「馬について研究をしている」という学生さんも。
次の100年を繋いでいくのは間違いなく彼らのような若者です。
より多くの人にこの空間に触れてもらえたらと、改めて感じた1日でした。
ーーー
先日の暑さ続きの日々から小休止している青森。
激動の2022年も既に折り返し。
しばし深呼吸して後半戦に挑みます!
先日のブログに書いてから1ヶ月も経たないうちに、気温だけはもうすでに真夏のような青森です。
「今年の暑さは全国的に、、、」というニュースを聞きながら、雨曇にちょっとホッとしてしまうほど。
そして3年ぶりのねぶた祭り開催がもうそこまで見えてきています。
様々なことをひとりひとりの力を集めて、コロナと共存しながら実現してゆくのですね。
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昨日の新聞には、浅虫の古民家「石木邸」のニュースが掲載されていました。
平成から令和へ移るタイミングで「石木邸」再生のお手伝いをしてから丸三年。
コロナという未曾有の期間を乗り越えて、また次のステップへと進みます。
町に新しい風が吹き、浅虫でもいろんなことが動き始めるでしょう。
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古民家「石木邸」については、カベシンブンで2+1回(ひとつは番外編)に渡ってご紹介させていただきました。
(あさむしカベシンブンはこちらから↓↓↓ 7号、8号、9号に掲載!)
https://sites.google.com/view/asamushikabeshinbun/
建物について調べるうち、浅虫の魅力もたくさん見えてきて、ますます知りたくなりました。
今年はマスク無しで浅虫の町や山をブラブラできたら、と思っています。
魅力的なお湯だけでなく、魅力的な人たちがどんどん集まっていきそうなこれからの浅虫がとっても楽しみです!
石木邸 201年 青森市
先日の記事掲載を受けて、たくさんの方々から温かいお言葉をいただきました。
改めて感謝申し上げます。そして今後とも、よろしくお願いいたします。
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青森には「梅雨がない」はずだったのに、ここ数年は季節感が変化していると感じます。
5月にしては真夏日のような気温になったかと思いきや、6月に入ったら肌寒い小雨のパラつく日が続いています。
風は通年で吹くようになり、台風かと思うような暴風のときもあったり、と穏やかではありません。
それまでの自然のバランスが崩れ、変化していることを感じずにはいられません。。。
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コロナ禍の生活も次のステップへ進んできました。
感染に注意しながらも、もはやじっとしてはいられない。
暫定的なスタイルは固定化して、新たなライフスタイルにシフトしていく。
そんな意識が浸透し、春から特に動きが活発になりました。
一気に多くのことが動き出して、それはまるで一斉に芽吹く若葉のような。
何かを目指し、何かをつくり、何か新たなことを始めるって
こんなにワクワクすることだったかと、改めて感じる毎日です。
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地鎮祭中に突然の暴風が。皆で支えあって無事執り行われました!
「いい家」をつくるには、一丸となるチームが不可欠です!
そのうちのひとつが先日やっと着工しました。
南北に細長い特徴ある敷地に、周囲との距離を微妙に変えながら立つ住まいです。
開け過ぎず、閉じ過ぎず、近過ぎず、遠過ぎず。。。
青森市の豪雪と共に暮らし、春から秋までは伸びやかな暮らしを存分に楽しめるように。。。
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設計中に新しい家族も増えて、いっそうにぎやかになりそうなクライアントご家族。
新たな空間での暮らしがよりいっそう楽しいものとなりますように。
工事監理スタートです!
新緑もいっそう鮮やかになり、田んぼには水が張られ、気温もぐんぐん上がっている青森です。
この春を待っていたかのように、たくさんのことが動き出している、そんな5月も早後半へ。
この度、東奥日報の「FACE」蘭にフクシアンドフクシを取り上げていただきました!
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個々の建築についてご説明をすることはあっても、建築家としてインタビューされるのは中々無いこと。。。
iF賞をいただいた感想から始まり、今後の抱負まで改めて答えようとすると中々言葉が出てきません。。。
それでも何とか口にすることで、改めて発見もあったり、考えさせられたり、と刺激的な時間でした。
特に「建築家になろうと思ったきっかけは?」のクエスチョン。
いつだったか?何だったのか??どうしてそう思ったのか???
記憶を遡ってみたものの、それは思ったより色褪せていないことに気がつきました。
いまだにフランク・ロイド・ライトの「落水荘」に憧れ、まだまだほど遠い道のりだということ。
そしてそこから紆余曲折ありながらも、そんなにブレずに歩いてきたのだということ。
そんな思いに共感していただき、共にカタチにしてきた多くの方々がいたということ。
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今回の記事掲載で多くの方から受賞のお祝いメッセージをいただきました。ありがとうございます!
齢はとうに折り返しを過ぎていますが、建築家としてはまだまだひよっこのフクシアンドフクシです。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます!
早くもゴールデンウィーク折り返し。
花見というよりは新緑の季節に突入した青森です。
久しぶりの遠出が無性にしたくなる、そんな気持ちに駆られるこの季節。
いつもとは違う、まだ行ったことのない場所をお探しなら、オススメの場所ができました!
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先日、田子町にて開館のセレモニーが華々しく執り行われました。
開館したのは「みろく館」。
町の観光協会の事務局として、そして町民も旅人も立ち寄る場所として使われる建物です。
元々は民俗資料館の役割を担ってきた古民家で、江戸時代末期のものを移築したものだったそうです。
町の中心部とも言えるこのエリアで、長い間眠っていた古民家が再び息を吹き返すためのプロジェクトでした。
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待ちに待った開館のこの日。
多くの関係者や取材陣と共に、早速町民の方がたも多くきていました。
パンフレットだけでなく、イベントも準備万端!
田子町の新たなスポットとしてスタートしました!
この「みろく館」のデザインは、近々Worksにアップいたします。
どうぞご期待ください!
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それまで待てない、という方へ。
是非田子町へのドライブをオススメします!
十和田湖へと続く、知る人ぞ知る道のその途中、
「冒険する旅人」気分でタプコプ(田子町の名の由来と言われるアイヌ語です)へ立ち寄ってはいかがでしょうか?
何とも不思議な古民家が、あなたを出迎えてくれますよ。
ゴールデンウィークが久しぶりにやってきた、そんな感じのする青森です。
でも桜の満開はだいぶ前に花筏となって、もうりんごの花が咲き出して。。。
人々の出足も去年の倍増とは言え、夕方のニュースでは相変わらずの「本日の感染者数」の報道。。。
さらに最近は「春」という季節があまりにも短くなっているような。。。
これまでとは違うゴールデンウィークの幕開け、そんな感じがする今日この頃です。
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さて、年度初めの慌ただしい卯月に先日一通のメールが届き、そこには「Congratulations!」の文字。
何と!iF DESIGN AWARD 2022(イフ デザイン アワード2022)を「曲屋KANEKO」が受賞した、との知らせでした!
ドイツのグッドデザイン賞とでも言うべきiF Design Award は、1953年にドイツのハノーファーを拠点として設立された世界で最も古いデザイン機関のひとつ「インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー」によるコンペティションです。
2021年は過去最多となる世界60カ国、10,766件の登録、第一次審査には49カ国、2,687名、5,426件の応募があったそうで、3518作品が受賞しました。その内の建築部門で受賞した99作品に「曲屋KANEKO」も見事選出されました!
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全て英文という慣れないプレゼンでしたが、多くの審査員の共感を得たことはとても自信になり、勇気づけられました。
このプロジェクトは、競走馬育成のために100年以上前に建てられた日本最古の木造厩舎である登録有形文化財を人と馬が共存するオフィス空間としてリノベーションしたものでした。
失われつつある伝統構法と先進技術との融合により再生し、同様に失われつつある地域の歴史と文化を伝え、曲屋を未来へ継承することをコンセプトに、長い間遊休施設となっていたこの建物を、馬と共存しつつ、オフィスや応接室としてだけではなく、多くの人が気軽に立寄れる開放的な空間としてデザインした点が評価されました。
具体的には5つの点「dea(アイデア)/Form(形)/Function(機能)/Differentiation(差別化)/Impact(インパクト)」について審査され、特に以下の点が高く評価されました。
・建物の半分をオフィスとしてそれぞれ個性的なデザインの部屋とした
・地域の文化「南部ひし刺し」や「南部小絵馬」をインテリアやサイン、家具に取り入れた
・薄暗い小屋裏に白い箱を入れ込むことで荘厳な軸組が浮かび上がり、新旧の対比が美しいデザイン
長い間遊休施設だった建物を、建築としての価値はもちろん、馬と共存してきた地域の歴史や文化を知ることができる施設として再び開き、地域の人々、伝統技術や文化の伝承者と意見交換を重ね、かれらの協力により完成した点も高く評価されました。
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世界の様々な素晴らしいデザインが並ぶ中で、このような評価を受けたことを素直に嬉しく思います。
そしてこれは100年前にこれを作り上げた職人と、それを維持し続け、今もそれを未来へ繋ごうとしている人々がいたからこその受賞です。
さらにこのプロジェクトを通して、多くの方々が関わって、その協力無しでは受賞はありませんでした。
きっとこれからもその関係は様々な形で繋がっていくでしょう。
この受賞が、その「糸」になればいいなと思っています。
細いかもしれないけれど、強くしなやかな糸をこれからも紡いでいけるよう、これからもチャレンジをし続けていきます。
今後ともよろしくお願いいたします!
曲屋KANEKO 2020年 青森県上北郡七戸町
いつになく多い雪にただひたすら耐えていた寒い季節から、あっという間に街中の雪はあらかた消えてしまった青森です。
日も長くなり、日差しも強くなりました。
気がつけばもう三月も後半、新年度のスタートでザワザワしている今日この頃です。
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季節は間違いなく移っているのに、いまだにコロナは居座っています。
オミクロンの感染力はケタ違いだったのか、県内の日々の感染者数はここにきて更新し続けています。
そして世界では今戦争が。
戦争を知らずに生きてきた私たちが、第三次を目の当たりにすることになる(なった)のでしょうか?
そしてここにきてまた大きな地震も。
私たちは地球から次々と試練を与えられているのかも、と思わずにはいられません。。。
そして、乗り越えられない試練は与えられない、と信じたい。。。
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いつもなら春の気配に浮き立つ時節ですが、様々あってそうもいかない今年の春。
こんな時こそ、やるべきことを、ブレずにいきたい思っています。
コロナ禍でいろんな物が値上がりしていますが、今年は工事もいよいよ動き出します。
丁寧に進めてきた設計を、カタチにする大切なステップへと進みます!
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そして新たなプロジェクトもスタートするこの季節。
様々な「居場所」をデザインします。
こども達の居場所、本を愉しむ居場所、安らぎの居場所、心の拠り所となる居場所etc.etc.
必要な機能を果たすだけではなく、「単なる空間」を「居場所」へとデザインする。
そのためにたくさんの会話を重ね、たくさんの情報を整理していく。。。
それが設計のシゴトだと改めて思います。
どれも大切なことだけれど、その人にとって(その居場所にとって)本当に大切なことは何なのか。
それを掘り起こしていくことによってできたデザインは、その人だけでなく、その場所を訪れた他の人にも伝わるデザインになると思うのです。
その過程を丁寧に、また白い紙に向かいたいと思います。
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きっとみんなに春が来る、きっともうそこまでやってきています。きっと!
如月最後の日曜日は雨模様となった青森です。
大きな雪の塊に囲まれてはいますが、足元の雪が緩んで歩きにくくなりました。
気温もグッと高くなって、勘違いした梔子が咲き出し甘い香りが春の到来が近いことを感じさせてくれます。
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先日は、竣工以来なかなかゆっくりお邪魔することができなかった「鎌谷町の家」へ。
感染対策をしっかりしながら束の間の再会。
今年の雪は流石に厳しかった、とのこと。
それでもみなさんのお元気な顔を拝見してホッと一安心。
子供たちの成長ぶりは目を見張る程。
身長はもちろん、babyはすっかりboyに。
みんなで元気いっぱいにウチソト関係なく遊びまくっている、とのこと。
しばらくぶりの再会なのに思いっきりの大興奮。
ギャラリーの家がコンセプトだった「鎌谷町の家」にはコレクションが増えていて、
横長のFIXには、ちゃんと自分の作品が飾ってありました。
何とも嬉しい限り。。。
きっともっともっと増えていくのでしょう。
ずっとずっと楽しんでいてほしい。
そんな空間をつくるシゴトって本当に楽しい、とこんな瞬間に痛感するのです。。。
コロナ禍からコロナ共存へ、そして終息への長い道のり。。。
世界では戦争に突入してしまった地域も。。。
健康に平和な毎日が送れることに日々感謝して、また一歩一歩進みます。
鎌谷町の家 青森県五所川原市 2020年
新年のご挨拶をしたと思ったら、あっという間に如月です。
小休止はあったものの、例年以上の降雪に少々雪かき疲れ気味の青森です。
積雪量は1.5Mに迫っています。
この季節は予想できない雪に予定を崩されるのは珍しいことではないのですが、
今年はオミクロンの見えない波が押し寄せ、回復の兆しに安堵仕掛けていた状況を一変しました。
今年は豆をまくのに思わず力が入った方も多いのではないでしょうか。
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青森とは対照的な氷の世界、八戸です。
まだ青森でもその波にのまれる前に、私たちが非常勤講師を務めている八戸工業大学の課題提出と講評が終わりました。
秋から2つの課題をこなすこの授業では、毎回学生達の成長に驚きます。
平成に生まれ、物心ついた頃には東日本大震災を体験、もしくは知り、今はコロナ禍という学生時代。
そんな彼らがスポンジのように日々何かを吸収し、少しずつ変わっていく様子を見てきました。
設計デザインには専門知識はもちろんですが、その人の経験や体験に基づく思考回路が大きく効いてきます。
多くの情報が溢れている今、自分にとって必要なものを掴み取り、吸収し成長していく彼らの「建築」を楽しみにしていきたいと思います。
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そしてその状況は私たちにとっても同じこと。
検索すれば瞬時に多くの情報に触れ、画面越しに遠く離れた人との打ち合わせも可能な社会となりました。
でもだからこそ、リアルが生む何かを私たちは知っています。
コロナ禍で、直接会い、現場の風を感じることの大切さを痛感しました。
時間をかけてそこへ向かうことも、他愛のない話に盛り上がることも。
それがなかなかできない今だからこそ、今にしかできないことを。
初めて訪れた土地に気持ちを高鳴らせ、そして持ち通しい春への気持ちを重ねて、新たなプロジェクトが始動します!

年末の記録的な大雪もひと息ついて、少しだけホッとしていたのも束の間
今度はオミクロンが猛威をふるい始めている年明けとなりました。
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雪と一言でいっても様々で、歌詞にもあるように七つどころかまるで生き物のように表情を変えます。
さっきまで羽が舞い降りるようにフワフワと降っていたかと思えば、あっという間に前が見えなくなるほどの量で降り出して全てを真っ白にしてしまいます。
最近は風と一緒に地吹雪となって、一瞬にして方向感覚を失う恐怖を伴う降りかたも。
かと思えば、突然止んで青空が広がり太陽が顔を出し、真っ白な雪に反射して目が開けていられない瞬間も。
雪片付けに追われるのは当然のことで、車が家から出られるようにしておくのはもちろん、大雪の日には玄関すら埋もれていることもあり、常に雪かきには神経を使い、かつ体力が問われます。
そして屋根からの雪にも十分注意が必要です。
風によって屋根から跳ね出した庇のように雪の塊がつくことがあります。これを「雪庇(せっぴ)と言います。
これが暖気になると一度に落下することがあり、その荷重は楽に自動車を潰してしまう程の重みになります。
その下を歩くことは危険そのものなのです。
また、青森では1mを超える積雪は珍しくないのですが、あまり積もりすぎると家への荷重がかかるので、その時は屋根に登って雪を下ろす必要があります。
これも大変危険です。上で作業する人も、下にいる人も十分注意しなければなりません。
設計する際に冬の状況を想定した計画をするのはとても大切なことです。
雪国って大変ですよね。
それでもこうして暮らしている人がいるって、それ以上に凄いことですよね。
なぜでしょう?
時には牙をむく雪も、あたり一面を真っ白な美しい世界へ変えてしまったり、静かにゆっくり舞い降りる姿に時間を忘れてしまったり、と私たちに与えてくれるものも多いからなのかもしれません。
そしてそれは人間の力ではコントロールすることはできない。
人間はひたすら雪のような自然に学び、知恵で対応していく。
尊敬と畏怖の念を持って。
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厳しい環境だからこそ、空間を形造るには技術と知識と知恵を活かした設計が大切なのだと思います。
それは青森に限ったことではなく、どの地域どの場所においても同様です。
それぞれの環境を読み解き、冬はもちろん四季を考え、未来を想像しながら今年もデザインしていきたいと思います。
雪で疲労困憊していても、その疲れを癒す空間があることでその美しさも時折感じながらまた一冬越していきます。
外の凍てつく寒さと薪が赤々と燃える炎を同時に眺めることができるこの時期に、
必ずやってくる春と新年のワクワク感に思いを馳せて。
本年もよろしくお願いいたします!
桂木の家 青森市 2007年
いつもより少し遅い一面の銀世界がやってきた青森です。
でもその雪もあっという間に消えて、師走の慌ただしさに追われています。
今年も残すところ20日となりました。
新年を迎えるにあたり、次へとバトンを渡すための大切な時間です。
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コロナ渦も様々状況を変えて、今度はオミクロンなるものが世界に広がっています。
この2年間に今までにない状況を経験し、これからももうしばらくは続くのでしょう。
でも、人々は動き始めています。
人間はそう弱くはない、そう思えたこの一年となりました。
過去から現代へ、そして未来へ。
バトンは常に受け継がれてきたもの、それをつなぐことがどれほど大切なことか。
それを考えさせられた一年でした。
それでも人間は進み続けることができると、進みつづけるしかないと思うのです。
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次へと渡すバトンは色々人それぞれで、私たちが渡すバトンも色々あって。
「曲屋 KANEKO」は、日本最古の厩舎はもちろん、その地域の歴史や文化をつなぐバトンとなるようデザインしました。
そして今度は、何十年と学生を育んできたキャンパスを未来へつなぐデザインを考えています。
これまで刻まれてきたものを大切にしながら、未来へつながるデザインとは。
10年先、100年先を見据えたマップを描きながら、ひとつひとつデザインしています。
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それまで当たり前だった風景が少し変わって見えるような、そんな実験を先日おこないました。
車での移動が当たり前の現在、歩行者は車に気をつけながら歩くのが当然のようになっています。
キャンパスでも同様に、その利便性を高めるため学生用の駐車場を整備し、様々なサービス車両のための動線計画がされてきました。
でも本来、キャンパスを長時間利用する学生にとって車との時間は一瞬なハズ。
車を使うことによりできた時間を有効に使うキャンパスが、車優先でいいのだろうか?
そんな思いをチームで話し合い、温めてきました。
そして今回、学生が行き交うキャンパスをより魅力的に未来へつなげるための小さな実験からスタートしました。
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今回の対象地は、普段は双方向でサービス車両が行き交い、一時的に駐車する車もいるキャンパス内の道です。
通過する際のスピードが速い車もいて歩行者は常に車に注意を払って通行しています。
そんな、いつの間にか車優先になっていたキャンパス内の道に、仮説で居場所を作りました。
車にとっては障害物のようなものを置くことで、速度減速と駐車を少なくできるのではと考えたからです。
また障害物を「居場所」としてデザインすることによって、「車優先の道路」から「学生の屋外空間」へと変化できるのではないかと。
初回ともあって短い時間でのチャレンジでしたが、実際に車の動きも確認でき、居場所としてのしつらいの課題も見えてきました。
何気なく通りかかった学生や教職員の方々も興味を持っていただけたようで、ご意見を取り入れながら次へとつなぐバトンができました。
今後も試行錯誤しながら進めていきたいと思います。
これからやってくる白い季節に、色々思い浮かべて新しい年に花を咲かせるために。
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撤収の日は雨と風に見舞われましたが、マスキングテープは思いの外剥がれずに頑張ってました。
帰りには虹も現れて。
次回に向けてワクワク感を抱きつつ、さあ、残りの冬支度も急がなくては!
いつもより遅い初雪の便りが届いた青森です。
それでも朝窓を開けたら銀世界、ではなく薄ら白くなったシャーベット状の雪があっという間に溶けていきました。
まだ大地の熱が残っている霜月後半です。
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そしてもう一つ、届いたのが「あさむしカベシンブン」
6月に続いて浅虫のカベシンブンに「石木邸」について寄せていただきました。
建物を「残す」といっても、ガラスケースに入れる宝石というよりは、やはり使われてこそ。
息を吹き返した建物が、これからどのように使われていくのか、それが建築ならではの楽しみなのです。
誇りを被り、時が止まってしまったような状態から、新しい風を入れ、綺麗にして、目を凝らしてみるといろんなことが見えてきます。
小さなキラキラを虫眼鏡で見るような、そんな感じですが
次へつないでいくために、そこに手を入れていく。。。
新築とは違う「変化」を味わうことができます。
建設当時の職人の技を堪能しながら、今我々ができることで次へ繋ぐ。
言われなくちゃ分からない、そんな建築あるあるをご紹介しました。
私たち自身も驚きと発見があり、
過去から現在、そして未来へと、時の流れが繋がっていくことを今更ながら感じた「古民家石木邸」でした。
そしてこの体験が「曲屋KANEKO」に繋がっていったのです。
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浅虫のカベシンブンには、魅力的な記事がたくさん掲載されています。
書いている方々が様々で、皆さんの浅虫愛を感じるカベシンブンなのです。
(詳しくはどうぞこちらをご覧ください!)
私たちも浅虫ファンのひとりとして、これからもその魅力をお伝えしていきたいと思います。
そうそう、明日はマルシェがあるってカベシンブンに書いてあったっけ。
しっかりダウンを着て、温泉街に遊びに行こう!
石木邸 2019年(青森市)
そろそろ来週は最初の銀世界がやってきそうな青森です。
先日、久しぶりのリアル東京へ。
マスクだらけの人ごみの中を、日本空間デザイン賞の授賞式へ出席。
その会場の熱気がまだ残っています。
(c)TSUCHIDA HIROSHI
全国精鋭の作品が集結したような状況に、夢でも見ているのかと思ってしまう程。
アナウンスされ、賞状と盾をいただいてやっと実感が湧きました。
オフィス部門の銀賞とあわせ、サスティナブル賞のダブル受賞となった「曲屋KANEKO」。
クライアントや施工者などのたくさんの関係者に加えて、100年前にこの合掌造の大きな厩を作り上げた七戸の大工と一緒に表彰された、そんな気持ちになりました。
先月のグッドデザイン賞に続き、これで「曲屋KANEKO」はトリプル受賞。
素直に嬉しく思い、次のチャレンジへと向かおうと気持ちを新たにしてます。
これまでつながってきたモノを、デザインでつないでいく。
「曲屋KANEKO」は、その難しさを痛感するとともに、その大切さを実感したプロジェクトでした。
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多くの対話からデザインを通して解を探す。
単なる見かけや目新しさだけではない、意味を持ったデザインでカタチにする。
それが私達の仕事です。
そう胸張って言えるように、これからもブレずに進みたいと思います。
昨日の新聞にはクライアントが全国で最優秀に輝いた記事。
余韻に浸っている暇は無い、さあ!と気合いをかけてもらいました。
ススメ!ススメ!!