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2023-07-18

さくらんぼの道を通り抜けて

古い柱と融合しながら新しいものを足していきます。

線状降水帯発生のニュースが全国で飛び交っているこの1ヶ月。

以前は「梅雨がない」と言われていた青森も、降ったり止んだりの空模様が続いています。

つい先日は、日本海側には大雨警報も出され、一部被害も出てしまった文月です。

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新型コロナウイルス感染症は5月に「5類」としての扱いとなり、ここ数ヶ月でいろいろなことが一気に動き出した、と感じています。

春を待って着工することも多い北日本。

忙しさに拍車をかけている、そんな感じがします。

それに合わせ、最近の激しい気候。

現場の職人さんたちは本当に大変です。

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そんな中、南部町の改修工事が進行中です。

長年地域で親しまれてきた店舗の一部を改修して、お店を存続しながら、新たな居場所をつくっていくプロジェクト。

お店の奥には住まいが続き、質地は高台につながっていて、そこには大木が。

登ると周辺を見渡すことができる絶景。

なんて豊な景色なんだろう、と思わずにはいられません。

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人口減少による地方の過疎化は全国共通の課題、と言われています。

でもそこには唯一無二の価値もあります。

そしてそこに暮らしている人がいます。

それを見出し、その器となるデザインとは何か。

毎回異なる答えを探し続けています。

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今回は、既存のお店の中にすっぽり入る新しいハコをデザインしました。

これまでたくさんのお客さんに商品だけでなく居場所も提供してきたこの店が、これからも地域に生き続けるように。

ふらりとやってくる誰かのために、いつもどこかが開いている。

声を掛けると「ハーイ」と誰かが答えてくれる、そんな雰囲気を残しながら。

これから新しい人もやってきて、自然とそこに座っている場所になるようデザインしました。

新築時、お祝いの鏡はそのままに。これからもここに集う人々を映し出します。


次の時代へと繋げるパーツのように、そっと、それでいてしっかりと根付くように。

白いキャンバスに、これからも自由にいろんな色が描かれていくように。

完全にリセットするのではなく、これまでの時間に重ねていけるように。

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完成はもうすぐ。

さくらんぼの季節が過ぎ、次は桃の季節でしょうか?そんな楽しみもある南部町への道を走ります。