久しぶりに秋の曲屋へ
秋晴れの牧場では穏やかな風景が広がっていました。
先日曲屋の仔馬スツールをお借りして、これまでデザインさせていただいた家具たちも一緒に撮影する機会に恵まれました。
素敵な家具はこの世にたくさんあり、それらからその空間に合うものを選ぶケースもあります。
それとは別に、その場所に唯一無二のオリジナルの家具をつくることも、これまで数多く関わらせていただきました。
今回の曲屋の仔馬スツールも同様に、「厩(うまや)」で生まれ育った仔馬をイメージしてデザインしています。
馬の長い首の形をした手掛けは肘を載せるのに絶妙なサイズにしてあります。
座面には刺繍でアクセントをつけました。青森県の南部地方に伝わる「南部菱刺し」はかつては着物を繕い、補強するための技術として農家のお母さん達が編み出し、いつしかその模様の美しさは文化になり現代に伝わっています。その模様の種類は数知れず。それぞれの地域特有の模様もあるようで、今回曲屋では、仔馬スツールの他に格子壁の意匠に七戸特有の模様と、厩や牧場にちなんだ「馬の眼(まなぐ)」などを刺しています。
この仔馬スツールは、100年の厩の歴史を紡いできた曲屋だからこそ生まれたデザインだと言えるでしょう。
厩のこと、南部菱刺しのことを詳しく調べ、実際に刺すところまで携わってくれた木滝さんに心から感謝いたします。
そして、仕事の合間を縫って美しい模様を仕上げてくれた牧場のスタッフにも、感謝の気持ちを伝えたいと思います。
こうして南部菱刺しは次の100年へと繋がっていきます。
そのひとつのカタチとして関われたことを本当に嬉しく思います。
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まだまだコロナ禍ではありますが、曲屋は次の100年へとゆっくりと動き出しています。
感染対策をおこないながら、生まれ変わった馬房を堪能できる準備が整ったようです!
仔馬スツールも曲屋でみなさんのご来場を待っています。
馬たちに会いに、ぜひ足をお運びください。