「公」という字
前回に続き、また文字をひとつ。
今回は「公」という漢字。
「公」という漢字を調べてみると、
「公」は、「私」を意味する「厶」に、入り口を開けて包み隠さず明らかにすることを表す「八」を組み合わせたもの。
とありました。
と、その一方で、
その読みは「おおやけ」。「大家」「大宅』が原義といわれ、政治や行政にたずさわる組織・機関。国・政府・地方公共団体などを指す意味が一番最初にでてきます。
そして、「公共」となると、「公共工事」など「官が担うもの」という意味でとらえられがちです。
でも、もうひとつの意味が書いてありました。
「私」(ブライベート)な部分を開き、それらがコミュニティを生み、それが共有する物や場所や価値観(コモン)のこと。例えば、村に一つの井戸を村人総出で掘って共同利用する、など。
とありました。
きっと、きっと事の始まりはそうだったろうな、と思います。そして、いつのまにかその意味が薄れている、とも。
でも最近は、それが変わりつつあると実感することが最近多くあります。
「シェア」「サードプレイス」「フューチャーセンター」「住み開き」「新しい公共」、、、
言葉の定義は難しいけれど、どれもプライベートにとても近いところから生まれてるのではないでしょうか。
八戸高専の10代の学生たちは、今「住み開き」というテーマに取り組んでいます。
自分自身が同じ10代の頃には、「住まいをまちに対して開く」なんてことは思いもしなかったことです。
でも彼らは、イメージできています!
想定した敷地(まち)の状況を考え、まちにどう開き、まちとどのようにつながっていくか、意識できています‼︎
とても頼もしく、今後それがそんなカタチになっていくのが、私達もとてもわくわくしています。
そしてテーマを説明しているとき、ふと思いました。
これまでも私たちは「住み開き」を意識してデザインしてきたんだな、と。
例えば「桂木の家」は、歩行者専用道路までテラスを延ばしたデザインとなっています。
テラスは、周辺の子供たちの遊び場でもあるその道路と連続した場所であり、住み人とにとってはテラスの先まで共(コモン)が広がっているのです。
「まちとどのようにつながるか。まちにどう開くか(閉じるか)」
私(プライベート)をつくりつつ、どんな共(コモン)が生まれるか、は常にデザインの根幹です。
ひとそれぞれ、場所それぞれにあった空間デザインは、それぞれ違います。
きっとまちにも、それぞれのデザインが生まれていくのだと思います。
そしてそれは、複数の私(プライベート)から生まれるいろんな大きさの共(コモン)です。
今まさに生まれようとしている程よい大きさのサードプレイスを、最近お手伝いさせていただきました。
そちらが近々お披露目に。
私たちも楽しみです。
青森の桜も満開。心弾む春です!